子供の頃過ごした庭にはソテツ、シュロ、黒松、マキ、黄金ヒバ、柿と夾竹桃そして夏みかんが植えられた豪華でもなく貧相でもなく、当時としては、ごく普通の庭だったと思います。
わずか1㎡程のコンクリート造でかつては金魚の水槽だった所に土を入れて水仙や竜のひげや落ちている石などを置いて遊んだ記憶があります。夾竹桃は毒があると夏みかんは造成工事によって伐採されてしまいました。クロマツは手入れが大変だと父が伐採してしまった時に祖母が悲しんでいた事を憶えています。
いたずらをして庭で正座をさせられた、ひんやりとした冷たい土の感触や夏みかんの実を一生懸命に竹の棒で払い落とし「これを食べると風邪を引かないよ」と言って皮をむいてくれた祖母の優しさと夏みかんの香りは心の中に鮮明に残って今でも時々私を優しい気持ちにさせてくれます。形が変わってしまったり、或いは庭自体がなくなってしまっても、その時の感情や思い出はいつまでも心の中に残っていくものだと信じています。
お客様の意向が一番大切でその思いをデザインに反映します。お客様と会話を重ねデザインの糸口を見つけ、それを広げたり修正したりしてデザインします。
まずお客様の要望を頭の中で整理します。
大きく分けてデザイン先行で考える場合と、費用とデザインを同時に考えながら進行する場合の2パターンです。
全くデザインが思い浮かばない時は、ただただ鉛筆を動かしてみます。
そうすると、ふっと思いがけずに糸口が見つかる場合もあります。
それでもイメージが浮かばない時はお客様の要望や自分が望むものとは全く別の物をいたずら書きしてみます。
美しいと感じるものは
安定と不安定、
優しさと厳しさ
など
相反するもの同士がギリギリの均衡を保っている状態が一番美しいと感じます。
VILLAGE GARDEN代表 宇井英喜